「最も危険なオナニスト~ボクぐるぢいの編3」
「そして園芸シートごしに指を伸ばして、電気掃除機のスイッチを入れるンです。ニャハハハ…」
や、やめてーっ。そんなプレイを一人っきりでやるなんて危険すぎます。でも先月も先々月も「単独で危ないプレイしないで!」って、私お話したじゃないですかーぁ(泣)。
「いや、だーいじょうぶ。大丈夫なんです。掃除機のとなりにハサミ置いてるから、いざと言うときはハサミでシート切るから」
そういう問題ですかッ?! 窒息したら脳に酸素いかないのに、そんなこと判断できるんですか? ←声を枯らして受話器に向かって絶叫する私。
「そうなんすよネ…。この間も電マのスイッチが切れなくなっちゃって、息苦しくなってきちゃって、ヤバイなーと思って(もっと早くヤバイって思うようにしようよ! お願いだからー!)」
「ええ」
「そうだ、ハサミでシート切ろうと思って(だからもっと早くに思えよ~!)、シートごしにハサミをつかんだんだけど、落っことして向こうに転がってっちゃったんですよ」
「は、早く、シートごと這っていってハサミ拾いなさいよぅ!」
リアルタイムで起きているわけではないのに、手に汗握って、いつの間にか命令口調で叫んでいる私。バカみたいです。
「それがぁ。電気掃除機のコードが短いから、遠くまで這えないんです。ニャッハハハハ…!」
「だから、危ないことはしないでって言ったじゃないですかー!」
ああ、もう相談員やめたいっ。これで窒息さんが人事不承にでも陥ったら、新聞沙汰になったら、
『SM相談員、死のプレイ勧める』
なんて、夕刊紙の片隅のすき間埋めに載っちゃうんでしょう? そんなのイヤだ、とっても迷惑ですーっ。
「いや、いいんです。それで、俺気を失っちゃって、たまたま親父が来まして助けてくれまして」
「ひえ。お父さん、何て言ってました?!」
「いや、何にも。お袋だったらヤバかったですけど、親父、だまって掃除機のスイッチ切って、シート切り開いてくれました」
うぅ、お父さん、どんなお気持ちだったのでしょう? 自分より巨漢の185センチもある息子が汗グッショリで園芸シートにくるまってウガウガしているのを目撃させられて…。息子さんよりお父さんのほうが相談したい気持ちなんじゃないでしょうか…。
(次号に続く)