医療プレイのススメ-第4回/神田つばき

「最も危険な遊戯~よい子は絶対にマネをしないでください」

 性器と意識だけが覚醒していて、四肢は麻痺している━。
 そんな状態で女性にもてあそばれたら、あなたはどうなってしまうかしら? 息も絶えだえになるまで性器をしごき立てられ、強制射精されることの延々たるリプレイ。
 生命の危険すら感じながら、拘束されてすらいないのに身をよじって逃げることもできない、ほんとうの快楽地獄。
 エムゾさんだったら、こんな妄想をネタにシーツの下で呻くのが好きな人も多いことでしょう。でも、こんな妄想を現実にしてしまった人がいました。
 その人はエムゾさんではなくて、実はハードMの女性でした。お仕事はあこがれの女医さんですよ、しかも麻酔科のエリート先生です。

「絶対に逃げられない状態で、複数の男性に輪姦されたいの。あなたの協力が必要なの、お願い…」

 M女医の彼女に打ち明けられて、同じ麻酔科の医師である恋人はたじろいだそうです。部下やナースたちに悟られることもなく、二人は密かにSMプレイを楽しむ仲でした。

「それだけは断る。ひとつ間違えば君の生命が危険だ!…そ、それだけじゃない、私だって医師免許を剥奪されてしまうんだぞ?!」

 30代半ば、女盛りの女医さんは悲しそうに言ったそうです。

「残念だわ…。あなた以外の医師に頼むしかないのね。でも、私を愛していない男性に頼むのは、すごく怖いのよ。でも、仕方ないわね。今日、私がお願いしたことはどうか忘れてしまってね」
「ま、待ってくれ!…頼む、五分だけ考えさせてくれッ!」

 結局、不倫相手である医師は彼女の要望を聞いて、自分以外に二名のS男性を集めました。そして注射器、人工呼吸器、筋肉弛緩剤…。
 そうです、エムゾな皆さんの想像のとおり、女医さんの願望は拘束具や縄のかわりに筋肉弛緩剤で四肢を動けなくしておいて、複数の男性にレイプされることだったのです。何と贅沢なプレイでしょう!…でも、人として行ってはいけない禁断のプレイです。
 筋肉弛緩剤は中枢神経には働きかけないので、意識はずっと覚醒したままです。自分がされていることを、最初から最後まで見ていることができるのです。ただし気道の筋肉も弛緩しますから、人工呼吸器で呼吸を確保していないと窒息死してしまいます。
 凄絶なプレイだったと言います。
 女医さんは大きく目を見開いたまま、三人の男性がいきり立ったペニスをねじ込み、額に汗を輝かせて抽送し、のけぞって射精するさまを無言で見つめていたそうです。軽い呼吸困難状態で、中枢をダイレクトに刺激されながら、絶望の淵をのぞくような目で至高の快楽に溺れていたとか…。
 免許剥奪まで覚悟して弛緩剤を打ち、呼吸器で酸素を送り続けた先輩医師でもあるSの彼は、そんな彼女を終始見守るばかりでした。目と性器だけで生きている、ただのメスに堕ちた恋人の姿に衝撃を受けた彼は、この日を境にM転してしまったということです。
 20年以上経った今でも、ハードコア医療マニアの間で密かに語り継がれている伝説のプレイですが、真偽のほどは明らかではありません。女医さんはその後、中国の大学の研究員になったと聞きます。
 女性の業の凄まじさか、SであってもMであっても、発揮する残酷さは男性の比ではないように思います。