5月6日はゴムの日、いぇーい!なんて言ってたら。
小説家の団鬼六さんが亡くなられました。
これは寂しい。
尊敬、憧れ、欝陶しさ・・・、ゆ、意外だと思われるかも知れないが、団鬼六さんにはいろいろな想いがある。
マイノリティーの世界にも時代や基準がなんとなくあるらしくてですね、ユリイカを立ち上げた当初は、ある意味でSM業界の異端児扱いだった。
なにあれSMわかってんの?ゆみこって誰さ?どこの(SMクラブ)出身?女王様らしくない、貴女どこで(SMを)勉強したの?本当のSMっていうのはさ・・・、っていろんな人に言われました。
うーん、よっぽどチャラチャラ見えたんだろうか、今ではすっかりライトでカジュアルな感じも「いまどき」な一つのSMの在り方になってきてますが、当時の女王様のblogなんかは、まだみんな「フフフ」「オホホ」って感じも多かった(これはとても大切な事で、できる人やハマる人は偉大だし全然バカになんてしてない)。
だからけっこう勇気もいった。
それはそれで面白かったんですけどー。
でもまー、業界の前途を危惧されたのか、いろんな言葉やアドバイス(?)を出合い頭にいただいたモンです。
あとよく言われたのがコレ↓
ゆみこさん、アナタ谷崎潤一郎は読んだ事ありますの?
家畜人ヤプーは知ってる?
毛皮のヴィーナスは?
マルキ・ド・サドは?
団鬼六は?
etc。
実際関わってない人や初対面の人ほど言うんだ。
今だからぶっちゃけちゃうけど、あんまり言われたんで途中で飽き飽きしちゃってねー。
私なんて、ちゃんとしろと言われれば言われるほどチャラける天邪鬼。
また谷崎。ガー!谷崎なら「痴人の愛」より「春琴抄」が好きだけどー!とか、全部読んでるよ、映画も観てるよ、でも全部読んでるのがそんな偉いのかよ、もーチャラチャラしてやる、喧嘩なんてしないけど内心ファック!ってなってきてですねー(そんな自分の経験からかイカ嬢たちに本や映画をSMの勉強のために勧めた事がない)。
団鬼六作品もけっこう読んでたけれど、反撥心と面倒臭さで、別によくわかんなーい、読んだ事ない、と言ってた時期もあった。
でもごめんなさい、団鬼六ワールドの「日本の正統派SM」な官能と形式美(様式美かな)も大好きでした。
間違いなく日本のSM文化の土壌を作った一人だと思う。
それに(団鬼六に限らず)、全ての書には耽美や官能、形式美と一緒に「性癖は理屈じゃない。」という事が書いてあると私は解釈してる。ひたすら愉しく興奮して読んだ。
でね、話は戻るんだけど、そういう「正統派なSM」の世界があったからこそ、ユリイカや私みたい(な正統派じゃない?)のが今いる事もよくわかっている。
だから勝手に感謝している。
2005年の明智さんの訃報の時と同じで、団鬼六さんの訃報は一つの時代が終わったんだなぁと寂しく感じます。
「蛇のみちは」(団鬼六自伝)が大好きです。
心よりご冥福をお祈りします。合掌。
鏡ゆみこ