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PINK-第二回/石田月美

Posted 2022-01-20

金払ったら絶交する。
ユリイカオーナー鏡ゆみこさんに、そう言われたことがある。
ゆみこさんがプレゼントをくださったときに「いやいや〜申し訳ないからお支払いしますよ〜」なんて私がナメた口をきいたからだ。純然たる好意を無下にしようとした私にゆみこさんが半笑いでそう仰ったので、私は新鮮な驚きとともに贈られた品を受け取った。

>(写真)バースデーケーキ

私自身、タダで何かをしてもらうことが苦手だ。そもそも人間関係が苦手だ。人間関係なんて不安定なものに耐える自信がないので、その不安をお金で解消しようとする癖がある。だって、いつもそうされて来たから。
10代をほぼ家出少女として暮らし、20代になってからは引きこもりのニートだった私はいつもお金に困っていた。だから、自ら進んで札束でぶん殴られるような目に遭いに行っていた。ぶん殴るのは大抵男の人で、大抵札束じゃなくて札ペラだったけど、そのペラペラの札のために私はしなくてもいいようなことを沢山してきたし、札でしか私を殴れない男の人を愛おしくも思った。
金の切れ目が縁の切れ目なんて聞くけど、金が切れる前に縁は切れた。だって「お前は俺じゃなくて金が好きなんだろ!」とか言うんだもん。当たり前だろ。そっちが金で関係を迫ったくせに何言ってんだと呆れながら「まぁご縁がなかったということで」と都合良く、¥の話を縁の話にすり替えて逃げて来た。
そうして、何とか糊口を凌ぐくらいには金を稼げるようになった今、私はそんな男の人達と同じようなやり方でしか人と接することが出来なくなっていた。
ゆみこさんに私は、今までされて来たやり方で今までして来たやり方で、あいも変わらず金を払って不安定な人間関係ってやつに安心を買おうとしたら拒否られたってわけだ。ビビった。そして、ユリイカの料金システムを知って私はもっとビビった。

【SYSTEM】
新規入会金 	6,000円
フリータイム 	17,000円
3hまで 	13,900円
1hまで 	6,000円
飲み物はすべてフリードリンクです

上記がユリイカの男性料金ステムである。

結論は早い方が良いので先に言ってしまうが、【お客さんはみんな同じ値段しか払えない】のだ。
どういうことか。

ユリイカというのは一部屋のサロンだ。そこに女王様がおり、M男さん達がお金を払って遊びに来る。個室に分かれているのではなく、一部屋の中にみんながいる。つまり、お客さん同士が顔を合わせる。自分の女王様のためにも良いマゾでありたい。男同士の中でだって、俺の方が良いマゾでありたい。そんな時の常套手段『お金』が使えないのだ。
キャバクラなんかでよくある「シャンパン入れちゃうぞ〜」とか出来ないし、「ボトルキープしといて」とかも出来ないし、「常連なんだから割引!」なんて全然出来ない。
地獄の沙汰も金次第なんて言うが、ユリイカの鬼たちは金なんかじゃ許してくださらないのだ。

>(写真)さくら女王様白

こうなると「良いマゾ」であるために、「できたマゾ」であるために、M男さんたちは頭を捻って気を使わなければならない。体も張らなければならない。
そこでユリイカのお客さんたちはお金を払って、鞭で打たれ(マゾだから)、蝋燭を垂らされ(マゾだから)、皿を洗い(マゾだから?)、掃除機をかけ(客なのに?)、ゴミを出して帰って行く(オーナーは?)。

金が武器にならないのは不安だ。自分と相手との関係性、距離感、快不快の免罪符がどこにもない。ただ単にそれらを見極め振舞わなければならない。

私はユリイカのこのシステムを尊敬するし、このシステムの中で楽しく虐められているM男さん達も尊敬する。私には出来る気がしない。好きな歴史上の人物第一位は圧倒的に諭吉だし、2024年には渋沢栄一に推し変する予定の私には、札束でぶん殴られたりぶん殴ったりする方が、まだ耐えられる。だって、お金は私じゃない。だから全部お金のせいに出来る。愛されないのも認められないのも大事にされないのもお金のせい。
それに、私はなんだか私ってものそれ自体にすっごく自信がなくて、私といてくれるなんて申し訳ない気持ちになっちゃう。だから金、払いたくなる。金は簡単だ。金を介さないということは、関係の不確実性に耐えるということだ。それってめちゃくちゃ怖い。

>(写真)ハイヒールの足並び

ユリイカでは金なんてただの通行手形。そこから、己がどんな人間であるか、女王様とどんな関係を築けるか、鬼達はそこしか見ていない。
金なんかでマウント取ることを、金なんかで思い通りにしようとすることを、金なんかに縋ろうとし自分自身を曝け出さない者を、許さないユリイカの女王様が、時々ふと言うんだ。
「私たち、M男に赦されてるよね」。

次回からは、そんな魅惑のM男さんインタビューである。何時間も話を聞かせてもらったが、サッパリわからなかったので、わからないものをわからないままにお届けしようと思う。きっと賢明な読者の方が読み解いてくださるだろう。わかったら教えて欲しい。彼らと女王様との間で、何が起きているのか。

ここユリイカは天国か地獄か俗世の果てか。誰が何に赦され、誰が何を与えてるんだ。
一向に答えが出ない。その答えの出ない遊びが今日もユリイカで繰り広げられている。
女王様が鞭を打つ。「ほら! もっと真剣に遊べよ!」
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