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PINK-周年記念/石田月美

Posted 2022-04-19

女王様、鏡ゆみこ。
ユリイカのオーナーである。
2004年にユリイカをopen。
今では裏方に徹しているものの、周囲の人間が集まれば
「現役時代のゆみこさんはそりゃもうスゴかったんだから 。知らないの ? 」なんて武勇伝の数々が飛び交う。
だが、もちろん知らない。私はSMのことに疎いし、いまだにユリイカのプレイ時間にはお邪魔したことがないし 、ゆみこさんの口から武勇伝が語られたこともない。私にとってのゆみこさんは単に「映画好きの愉快な姐御」 だ。
しかし、そんな愉快な姐御と出会えて、私は度々救われている。別に私に Mっ気があるとか、そういう雑な話じゃない。まだ私はSMとは何かがわかっていないし、ゆみこさんとは映画を観たり、お喋りしたりしかしていない。 それでも 、ゆみこさんといると 私 は 勇 気 が 湧 い て く る 。「 女 は 女 に 生 ま れ る の で は な い 。 女 に なるのだ」とボーヴォワールは言ったけど、ゆ みこさんのような「女」になりたいとも思う。 ま ぁ 、 そ れ は 無 理 だ と し て も 、「 女 で あ る 」 こ と も悪かないなって気持ちになる。
だ っ て ゆ み こ さ ん は 、シ ア ワ セ を 、楽 し む こ と を、恐れない。そして、いつも遊んでいる。遊ぶ。 ただ、それだけ。それが私には圧倒的な救い に な る 。き っ と 、ゆ み こ さ ん の 周 り に い る 人 達 にとってもそうだろう。映画を観たり、お喋りしたりしかしていない。 そ れ で も 、ゆ み こ さ ん と い る と 私 は 勇 気 が 湧 い て く る 。「 女 は 女 に 生 ま れ る の で は な い 。 女 に なるのだ」とボーヴォワールは言ったけど、ゆ みこさんのような「女」になりたいとも思う。 ま ぁ 、 そ れ は 無 理 だ と し て も 、「 女 で あ る 」 こ と も悪かないなって気持ちになる。
だ っ て ゆ み こ さ ん は 、シ ア ワ セ を 、楽 し む こ と を、恐れない。そして、いつも遊んでいる。遊ぶ。 ただ、それだけ。それが私には圧倒的な救い に な る 。き っ と 、ゆ み こ さ ん の 周 り に い る 人 達 にとってもそうだろう。
  ゆみこさんは既存の枠組みを、タバコ吸いな
がらつま先で、いとも簡単に引っくり返す。視野狭窄に陥り、自分や誰かを憎みそうになった時、ゆみこさんに話すと驚くほどあっ
けらかんと俯瞰して「ウケるね」と言ってくれる。誰かにとってのトラブルもゆみこさんの手 にかかれば格好の“フェス”になるのだ。その “フェス”に巻き込まれるのは心地良い。 さっきまで悲劇のヒロインだった自分が、 ゆみこさんといると喜劇のエンターテナー になれる。舞台裏でニヤニヤしているゆみこ さんが目に浮かぶ
SM に疎いなんて言ったが、2022 年の私は 「監禁フェス」から始まった。年末にちょっと
海外に行って、年始に帰ってこようとしたら、 このご時世そう簡単にはいかない。いわゆる 水際作戦による海外からの帰国者強制隔離 で、アパホテルに数日間閉じ込められた。 6 歳の娘と 3 歳の息子も一緒だった。 電話でゆみこさんに愚痴ったら「うちの M 男 なんて金払って監禁されてんだよ!何それ、 フェスじゃん!」とまた喜劇にされた。少し 楽になる自分がいる。 しかし2人の子どもとアパに閉じ込められる のはキツイ。時間が経つにつれ、笑えなく なってきた。そんな時にゆみこさんは決して
「大丈夫?」なんて連絡はして来ない。あろう ことか、私が監禁されている横浜みなとみらいのアパホテルの下から写真を送ってきて「今から観覧車乗るわ~」と呑気なLINEを送ってくる。シャバの写真を歯軋りしながら アパで眺める私。
しかしその数時間後に、間違いなくゆみこ女王 の手によって、私たち母子は救われたのであっ た。詳細は私のnoteを読んで欲しい。(石田 月美 note:『不要不急の奇妙な冒険』)
そういえば、ハンガリーに住む単身赴任中 の夫に、子ども達を連れて会いに行っている 間も、私はゆみこさんに救われた。久々に 会う夫に良いところを見せようとして空回り しまくった私は「こんなに一生懸命に頑張っ ているのに!」と夫に対して理不尽な被害 妄想を膨らませていた。 それをまた、電話でゆみこさんに愚痴ったら
「とりあえず、夫氏に謝って寝ろ」と言う のだ。「デモデモダッテ」と思いながらも、 謝って一眠りしてみると、「なんだ。私が テンパってただけで、夫、いいやつじゃん」 と私はスッカリスッキリ考え直せたので ある。異国の土地で煮詰まっていた夫婦の 危機を、またしてもゆみこ女王は救った。
(石田月美note:『夫の良いところ』)
これは確実に言えるのだが、ゆみこさんに 「人を救おう」なんて気持ちは微塵もない。 ただ、いつも何かを面白がっていて、いつも 結局優しい。ゆみこさんの周りに多くの人が 集まるのも頷ける。だって、ゆみこさんの 手にかかるとトラブルはフェスになり、悲劇 は喜劇になる。皆んな大笑いしながら、ゆみこ
さんと一緒に「遊ぶ」。遊んでいるうちに、 こっちは勝手に救われる。そんなこっちに 不思議そうな顔をしながら、またゆみこ女王 は遊び続ける。
ゆみこさん、ユリイカ18周年おめでとう。 そしてハッピーバースデー。 私には、あなたのような女が女として生きて いるということが希望です。女だからって 連帯できるわけじゃないし、女だからって 分断されるわけじゃない。私たちは逃れよう もなく女であるからこそ、そんなアレやコレや を笑い飛ばして蹴飛ばしてやっていきま しょう。また遊んでください。
愛よりも親切を。これからもナイスに。
石田月美
1983 年生まれの東京育ち。物書き。 幼少の頃から周囲と馴染めず、浮き上がった自分を抱えながら過ごす。 生き延びるための物語&How to を綴った『ウツ婚!!―死にたい私が 生き延びるための婚活』を晶文社より 2020 年に出版。 様々な精神疾患を抱えたまま、婚活し結婚し、不妊治療を経て、現在 二児の母。
シネイカの御三方、新井英樹さん・鏡ゆみこさん・二村ヒトシさんに はお世話になっていて、新井さんには「メンヘラパリピ」と呼ばれるし、 ゆみこさんにはSMサロンへの寄稿だ!と飛ばし過ぎる月美を「もう ちょっとマイルドで」と嗜められ、二村さんにはノールックで「今日 もイイ女だね~」とあしらわれている。

石田 月美 note:『不要不急の奇妙な冒険』
https://note.com/ishida2kimi/n/n52080e6cf402
石田月美note:『夫の良いところ』
https://note.com/ishida2kimi/n/n27f07a234a69

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