ことばーか /ゆみこ

日曜日。友達が出演した活弁映画が上映されるというので行ってみた。
某カフェにて行われたそのイベントは、なんだか変わったイベントで主な内容は詩の朗読でした。
詩。ポエムっすよ?ポエム!
何人かの詩人の方々が、一人ずつ順番に割と自由な形で自分の詩をリーディングするの。
目の前で詩の朗読なんてこっちが照れるかなぁ?とか思ってたんですよ。
だけどね、はじまってみると私的にはこれがなかなか面白かった。
ゲスト?の小説家の山崎ナオコーラさんが自身の短編小説の一節を朗読する場面も。
文章を声にして聞くのって面白い。
ん〜いやでもやっぱ少し恥ずかしかった。
同じライブでも楽器持って歌うのよりも、もっと全然勇気がいる気がした。

しかし言葉ってすごいなぁ、と思いましたね。
人がその時感じて発する言葉なんて、その瞬間は真実かも知れないけれど、どんどん変わるし大してアテになんない。
例えば「人は一人じゃない」なんて私はやっぱり思えないし、そんな事を簡単に言う人ほど、どうも信じられないし。
勝手に胸に残ってしまう言葉もあるし、刺さってしまう時もある。
「言わなきゃよかった」ってずっと恥ずかしさや後悔がつきまとう言葉もある。
墓場まで一人で持っていくべき言葉もある。
でも言わないと伝わらない事もあるし、伝わらなくても無駄な事ばかりでもない。
「鞭で人は殺せないけど、言葉は人を簡単に殺せます」ってのはよく言ったもんだと思う。
言葉は重要で厄介で恐ろしいもので、そんで凄いものです。

それから人の声。
これも改めて大事なんだな〜と。
高音でも低温でも、やや早口でもスローでも。
こちらになんの思い入れやヒイキがなくても、別に大声で喚いてなくても。
心地よくスッと耳から中に入ってくる声っていうのは確実にあるでしょ。
きっとそういうのが「いい声」なんだと思う。
不快感なく入り込んでくる音というのか。あれってすごいよね。音楽。

活弁映画の方は、現在渋谷ユーロスペースにてレイトショー上映中の「バサラ人間」(これはトーキーです)を撮った、活弁映画監督の山田広野監督。
私は初めて見たんですけど、いや面白かったですねぇ、山田監督。失礼かも知れないけど、活弁、さすがに上手(笑)。笑った。
映画の撮影&演出も編集も「俺が活弁やりたいから」作ってある感じで、正直で単純で面白かったです。
今回、ヒョンな成り行きから映画に出演した友人(全然役者さんとかではないが)の演技もなかなかでした。

イベントは早稲田だったので、帰りに講堂に行ってみた。私が小学生の頃、叔父さんがこの近くで喫茶店をやってたの。だからめっさ懐かしー!
ここはいい思い出が沢山ある場所でもあり、あえて避けている場所でもあり。
自主的にはなかなか足が向かない。

叔父はもろビートルズ世代で、ビートルズフリークなんですが超プレスリーファンでもあったので喫茶店は「ラブミー」っていう名だった(笑)。
サンドイッチとコーヒーと音楽(JAZZやROCKなど)、そして音響には叔父はこだわってたみたい。学生向けの量の多めのピラフなどもあった。
ドアを開けた時の店の匂いを今でも覚えている。
この店も、家族・親戚の中ではドロップアウトな叔父も大好きだったので、小学生の頃はよく遊びに行ってた。
毎年早大の学祭に遊びに行ったりもしてた。
学祭ではそれこそ変な詩集や、小難しいアングラエログロ漫画の小冊子を買ったりしたなぁ。
あんなの、小学生が欲しがっても売っちゃダメだって!!早大生(笑)。
私が中学生になった頃から学生達の遊び方や行く街が変わり始めて、どこの大学生もみんな大学の近くではなく新宿や渋谷に出てしまう時代に。
学生街や地元の商店街も廃れてきて、やがて叔父の喫茶店もなくなった。

変わらないものは沢山あるけれど、元に戻るものなんてない。この街だってそうで、なんだか感慨に浸ってしまいました。
街とか時間とか人や気持ちは、どんどん動いたり擦り減ったり忘れちゃったりする。
でも一方でずっとどっかに残ったりもする。
だからせめてもっと大事にして過ごさないとなぁ〜なんて、家族とか父の事を思い出しながら一瞬思った日曜日でした。